2011年8月2日火曜日

イシューからはじめよ―知的生産の「シンプルな本質」

 著者は、バリューのある仕事、生産性とは何かを問う中で、「イシュー度」と「解の質」の2つの軸を設定している。「イシュー度」とは「自分のおかれた局面でこの問題に答えを出す必要性の高さ」であり、「解の質」とは「そのイシューに対してどこまで明確に答えを出せているかの度合い」である。絶対にやってはならないのが、労働量によって解の質を上げ、バリューを上げようとするアプローチ(「犬の道」)であり、バリューのある仕事をするためには、まず、徹底してビジネス・研究活動の対象を意味のあること、イシュー度の高い問題に絞り、そののちに解の質を上げていくべきだという。
 「一人の科学者の一生の研究時間なんてごく限られている。研究テーマなんてごまんとある。ちょっと面白いなという程度でテーマを選んでいたら、本当に大切なことをやるひまがないうちに一生が終わってしまうんですよ。」-利根川進
 しかし、生産性とは何かという問いを突き詰めると、パースペクティブの問題に行きつくように思う。誰にとっての価値なのか、「Issue for whom?」という問いも同時に考えなければならないだろう。
(2011年7月18日)
イシューからはじめよ―知的生産の「シンプルな本質」
安宅和人
英治出版
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